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完成住宅事例 - m-邸 みわとわ (雑貨店+住宅リノベーション)

高橋純也

愛知県犬山市

Date / 2022年08月

構造 / S造

家族構成 / 親+夫婦+こども1人

m-邸 みわとわ (雑貨店+住宅リノベーション)

犬山城の城下町の本通りに位置する建物を改修させて頂きました。フォトスタジオを営まれている店舗併用住宅へ、子世帯が同居してフォトスタジオの傍らで雑貨店を営むための空間づくりをしたリノベーションです。当初の計画では全て改修する予定でしたが、店舗側は1階部分の雑貨店のみとし、住宅側も2部屋はそのまま利用するように工事中に計画修正しながら進めさせて頂きました。

城下町ということで町との調和を意識することはもちろんですが、お施主様の考え方と一致して町や人に溶け込んで使ってもらえる場所を想像し、「町の縁側」を作ることを提案させて頂きました。あくまで犬山で育った者の私見ですが、犬山城下町は観光に力を入れて人が多く訪れるようになりましたが、子供のころに感じた人の住んでいる雰囲気が無くなり、いつのまにか食べ歩きのテーマパークのような場所になっていて、休憩できるスペースや、憩いを感じる場所が少ない寂しい印象を受ける場所になっていました。そこへ町の人が話の場として使ったり、食べ歩きの人が休憩がてら利用して町の情報を手に入れたり、子供たちがわいわい楽しんでいる風景になってくれたらと思います。

この縁側という考え方は建物の前面がピロティーとなっていたことが大きな要因となっています。店舗としては道に面した位置から奥に入ってしまうためデメリットに感じますが、この部分を町の延長として、またお店の延長として互いが融合した中間領域にできるのが縁側として考えています。

外観を改修するにあたり、元の建物は道路側が目立つように3階建ての正面側の色と仕上げを切り替え、鎧張りの腰壁を積み上げた外観をしていて通りに対して高さの違和感を与えていたように感じました。そのため犬山城の別名「白帝城」に合わせて白で全体を塗装して町に馴染ませました。また通り側の外壁には切妻を向けた庇が作られていましたが、威厳を放つ作り方で入り難い印象を与えるため、向きを替えて軒を下ろして迎え入れる形にして、街並みにも合わせています。店舗部分は壁から天井まで木格子で仕上げ、ピロティーの天井まで延長させています。店内には町のいたるところで使われているハート型を一部に取り入れています。

住宅部分は住みながら工事ができるように4つくらいのエリアに分け、残す部分を作って保管場所とし、エリアを移動しながら仕上げていきました。大きく改修した部分はLDKとセカンドリビングで明るい空間を作ることを心掛けました。LDKは1階を一室を残してスケルトンにして、暗い印象のあった部屋と明るい部屋をひとつにして明かりを囲む部屋に作り変えました。改修していない部屋との境目や既存をほぼそのまま利用した部屋ではふすまや腰板をそのまま使っています。