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完成住宅事例 - 小路地

高橋純也

愛知県

Date / 2020年03月

構造 / 木造

敷地 / 970㎡

延床 / 173㎡

家族構成 / 夫婦+子供3人

小路地

広い敷地の中で古い御母屋を建替え平屋の住宅を新築しました。元々は南に建物の敷地、北に畑の敷地と、南の敷地で建物の用途は完結していたのですが、入り易さなどから北の畑に道を新たに作り建物へのアプローチをとりました。それにより南側はプライベートな庭を囲むことができ、北側は畑があることで建物にゆとりが生まれています。

この住宅を設計する上で重視したのがロケーションでした。まずは敷地の中にある建物として畑との見え方なのですが箱型の威圧感のある建物は想像できず、小屋やビニールハウスのようなシンプルな切妻屋根の建物が頭に浮かびながら設計しています。あとひとつは建物から見える外側の景色です。畑の開いた部分ももちろん良いのですが、その先に特別な眺めがありました。それを取り込みながら中が開きすぎない形としてこの外観ができあがっています。特に特徴的な屋根の上にある大きな窓は、「小路地」というタイトルの終着点に現れる眺望のためにあります。「小路地」というのは建物の中にいくつかの通路(廊下)があり、それらが街中にある裏路地のように隙間感や視点の抜け感に似ているように思い、路地から取った造語になります。この「小路地」の終着点はロフトとなっていて、登る行為から見える位置に眺望を作ることで展望台としての役割を持たせています。またロフトは外を眺めるだけでなく、広場(リビング)を見下ろして町(室内空間)を見渡すという場所にもなっています。

建物の中にある特徴をいくつか紹介すると、一つ目が玄関ポーチの梁が表しになっている庇が玄関の中を抜けて和室の外の濡れ縁と連続で続くのが見えるように設計しています。二つ目は広い玄関ですが、玄関脇にカマドのある勝手口土間の部屋があり通常は個室として利用するのですが、大人数で餅つきをするときに玄関と一体利用できるようにしています。三つ目は建替えになったことで少しでも以前の記憶を残したいと前の建物の古材を利用しています。玄関と廊下に欄間、勝手口土間に型板ガラス、和室に障子戸、床の間に床柱と鴨居、玄関には障子戸を扉に改良して使用しました。四つ目は重複しますが景色を切り取る窓です。外観を見ると大きな窓の他に一階に細長い窓があります。これは玄関に立った時の目線、洋室でイスに座った時の目線から外を見る為の窓となっています。(場所の特定を避ける為、外の景色が見えない、わかりにくい写真、加工した写真を掲載していますのでご了承ください。)五つ六つと上げいていくとキリがないのでこの辺りにしておきますが、多くの考えを受け入れて頂いたり、意見を交わしながら良い建物が誕生したと思います。